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ベルヌーイの定理 7th-day

Question.

水深Hの壁に穴をあけたとき、飛び出す水の速度の大きさを求めよ。

Solver.

水に関するエネルギーの内訳は次のようになっている。

力学的エネルギー = 位置エネルギー + 圧力エネルギー + 運動エネルギー

これを、水頭で考える。水頭とは、水の持つエネルギーを高さ(水深)に置き換えたものである。

全水頭 = 位置水頭+圧力水頭+速度水頭

それぞれの水頭について考えていく。

まず、位置水頭は、高さそのままであり、h[m]を位置水頭という。

次に圧力水頭について、
物理で、ニュートン運動方程式として、以下の式が成り立つことが示されていた。
 F = ma
ここで、質量は、水密度を \rho [  kg / m^3 ]、体積をV [  m^3 ]とすると、
 m = \rho V[kg]
となる。面積をA [  m^2 ]、水深をH[m]とすると、
 V = AH [  m^3 ]
なので、
 F = ma = \rho V g = \rho A H g[N]
(g...重力加速度)
となる。
次に圧力を求める。圧力は、
 圧力P = \frac{力F}{面積A}[Pa]
で求められるので、
 P = \frac{F}{A} = \frac{\rho A H g}{A} = \rho H g
 H = \frac{P}{\rho g}
このHを圧力水頭という。
圧力エネルギーは、位置エネルギーと同様に U=mghで考えると、
 U = mgH = m \frac{P}{\rho}

最後に、速度水頭について考える。
運動エネルギーは、位置エネルギーと等しいものとすると、
 K = \frac{1}{2} m v^2 = mgH
 H = \frac{v^2}{2g}[m]
このHを速度水頭という。

以上で、水頭をすべて求めることができた。まとめると、
 H = h + \frac{P}{\rho g} + \frac{v^2}{2g}
となる。

先に述べてしまうと、ベルヌーイの定理とは、全水頭は、位置が変わっても一定であるという定理である。
これを証明するために、力学的エネルギーについて考える。
力学的エネルギーは、力学的エネルギー保存則より、すべてのエネルギーの総和は、常に一定であることを示している。
よって、a地点とb地点の力学的エネルギーについて、
 mgh_1 + m \frac{P_1}{\rho} + \frac{1}{2} m {v_1}^2 \\ = mgh_2 + m \frac{P_2}{\rho} + \frac{1}{2} m {v_2}^2 = 一定
が成り立つ。
両辺をmgで割ると、
 h_1 + \frac{P_1}{\rho g} + \frac{{v_1}^2}{2g} \\ = h_2 + m \frac{P_2}{\rho g} + \frac{{v_2}^2}{2g} = 一定
これは、各水頭の合計が位置が変わっても変わらないことを示している。
また、エネルギー損失を考えると、損失水頭を h_lとすると、
 h_1 + \frac{P_1}{\rho g} + \frac{{v_1}^2}{2g} = h_2 + m \frac{P_2}{\rho g} + \frac{{v_2}^2}{2g} + h_l = 一定
これをベルヌーイの定理という。

問題に戻る。
ベルヌーイの定理を用いる。
位置Aを水の水面付近とし、位置Bを穴をあけた場所とする。
AからBまでの長さをHとする。
圧力は、水面も、穴をあけた部分もどちらも大気に触れる部分であるため、大気圧となり、同じ圧力である。
AからBへと水が流れるので、A地点での速度(初速度)は0である。
Aについて考える。
位置水頭は、H, 圧力水頭は、 \frac{P}{\rho g}, 速度水頭は、0である。
Bについて考える。
位置水頭は、0, 圧力水頭は、 \frac{P}{\rho g}, 速度水頭は、 \frac{v^2}{2g}である。

ベルヌーイの定理を適用すると、
 H + \frac{P}{\rho g} + 0 = 0 + \frac{P}{\rho g} + \frac{v^2}{2g}
 v^2 = 2gH
 v = \sqrt{2gH} [  \frac{m}{s} ]
となる。

Consideration.

ベルヌーイの定理は、ニュートン運動方程式・運動エネルギー・位置エネルギー・力学的エネルギー保存則、
この知識さえあれば、導くことができる。
単位に気を付けつつ、様々な記号で表す必要がある。
新しい概念としては、「水頭」である。
水頭をエネルギーと同等の位置づけとして考えることができ、式を単純化できる。

今回の問題では、圧力がA地点でもB地点でも同じということに気付けるかが重要な点となる。