流量・落差と発電所の出力 8th-day
Commentary.
流量とは、河川のある地点の横断面を1秒間に通過する水の量のことを指す。流量を示す図には、主に2種類あり、流量図と流況曲線とがある。
流量図とは、毎日の測定流量を順に記録し、プロットしたものである。
梅雨時期は多く、冬は雪により減少する。
流況曲線とは、流量の多い日から順次配列し、並べて、プロットしたものである。
流量の測定には、様々な方法が用いられるが、ここでは、ピトー管法について説明する。
水道管の管壁にあけた孔から水柱を導く。
この水柱の高さは、圧力のみ影響し、圧力水頭で表される。
水道管の流水の方向に向けてあけた孔から水柱を導く。
この水柱の高さは、圧力と運動エネルギーが影響し、圧力水頭と速度水頭で表される。
は、ピトー管固有の係数である。
よって、の差、hは、
[m]
と表される。
Question.
流域面積200 [ ], 年間降水量1800mmの地点に水力発電所がある。流出係数70%, 有効落差120m, 総合効率85%で不変としたとき、
(a)年平均出力を求めよ。
(b)設備利用率40%としたとき、発電所の定格出力を求めよ。
Solver.
発電所の理論上の出力電力を求める。まず、エネルギーは以下の式で求められる。
単位時間当たりの質量mは、
[kg/s]
となる。Q [ ]は、流量を指す。
エネルギーの式に代入すると、
[J]
tは時間であり、単位時間当たりの質量を代入したため、打ち消す目的がある。
電力は、エネルギーを時間で割ると求められる。
[W]
[ ] より、
[W]
しかし、結論としては、
[kW]
となる。あれ、、が消えている!!!
と思うことなかれ。
は水の密度である。水の密度は、
[ ]
である。そして、先ほどの式の単位に注目すると、[W]が[kW]になっている。
はほぼ1000であるため、1000倍=キロということである。
改めて、理論水力Pは、
[kW]
である。
問題に戻る。
(a)
まず、年間の雨の体積Vを求める。
[ ]
単位時間当たりの体積(=流量Q)は、
[ ]
発電所出力は、
[kW]
となる。
(b)
定格出力を[kW]とすると、設備利用率L[%]は、
[%]
よって、定格出力は、
[kW]
となる。
Consideration.
理論水力の式、[kW]で、なぜ、が消えたのか、これについて調べるのが最も大変であった。
しかし、今回も式は、それほど複雑ではない。
問題に合わせて、効率などを掛け合わせて、うまく式を立てる必要がある。
この分野では、単位に気を付けながら計算することが大切である。